• Home
  • Knowledge Base
  • 心を整える「書く瞑想」 ― ジャーナリングで自分の感情を見つめる

心を整える「書く瞑想」 ― ジャーナリングで自分の感情を見つめる

理由もなく気持ちが落ち込む、なんだかずっと気分がモヤモヤしている、言いようのない不安が頭の中に渦巻いて夜なかなか眠れない…そんな経験はありませんか?
デジタル化が進み、SNS情報過多によって脳が疲労しがちな現代、そのような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

不安を感じるのはいたって自然なことですが、いろいろな不安が頭の中を埋め尽くしていると、自分の本当の気持ちややりたいことを見失い、ただ無作為に日々を消費するだけになってしまいます。

本コラムでは、そのような漠然とした不安が生まれる仕組み、そしてそんな不安を解消し、すっきりと心を整える方法をご紹介します。

心に蔓延る「不安」が生まれる仕組み

私達が見聞きしたことに対して感じる最初の感情を「原始的感情」というそうです。喜びや安心といったポジティブなものから、不安や恐怖、痛みといったネガティブなものまで、あらゆる感情を指すようです。

この原始的感情は、脳の「扁桃体」という場所で感じているそうです。扁桃体には、見聞きした情報が自身の命に関わるものかどうかを最初に判断するという働きがあるといわれています。

受け取った情報を扁桃体が「危険」と判断すると、脳の「視床下部」からストレスホルモンが分泌されます。その結果、血圧や心拍数の上昇、筋肉の緊張といった自律神経の反応のほか、交感神経の緊張によって手の震え、動悸、発汗、吐き気といった身体症状が現れることもあるのだそうです。そして、その後に「恐怖」や「不安」などの感情が発生するようです。

その偏桃体をコントロールするのが脳の「前頭前野」です。感情をコントロールし、冷静な判断をすることができるのは前頭前野のおかげであるといわれています。

偏桃体が生み出す不安や緊張、恐怖といった感情は生きていくうえでとても大切なものですが、それらが頭の中を埋め尽くすほどに膨大すると、心身に大きな負荷がかかり、体調やメンタルを崩すことにつながってしまいます。
そのような過剰な不安や頭のモヤモヤを消し去るには前頭前野を鍛えることが必要だそうなのですが、そのためにおすすめされているのが「ジャーナリング」という手法です。

「書く瞑想」とも呼ばれるジャーナリングとは?

ジャーナリングとは、今その瞬間に頭に思い浮かんでいる感情をそのまま手書きでノートや手帳に書き出す手法のことです。整った綺麗な文章にする必要は一切なく、たとえそれが漠然としていてもネガティブでも、飾らずに思うままに書き続けることが大切だそうです。

書く瞑想」とも呼ばれ、現在はメンタルケアを目的とした認知行動療法などでも用いられている手法とのことです。

日記と少し似ていますが、1日の出来事を頭の中で整理して記録する日記に対し、ジャーナリングは内容のまとまりなどを気にせずにその場で思い浮かんだことを書き出すという点が特徴とされています。

自分の感情を書き出して客観視することで、「小さなことをいつまでも気にしてしまう」「余裕がないとイライラしやすい」といった自分の感情の傾向思考のクセに気づくことができます。これによって前頭前野が刺激され、偏桃体の過剰な反応が抑制されるようになるそうです。

ジャーナリングによって得られる、精神的な4つのメリット

内向型カウンセラーとライフコーチが開発した手帳『pure life diary』を展開するfeppiness株式会社がジャーナリング経験者へ向けて実施したアンケートによると、ジャーナリングによって感じた変化として最も多かった回答は「目標達成がスムーズになった」。次いで多かったのが「感情をコントロールしやすくなった」「ストレスが減った」という回答だったようです。

この調査結果をもとに、ジャーナリングによる精神的なメリットを4つにまとめてご紹介します。

①自分のやりたいことを明確化し、目標達成につげることができる
ジャーナリングをすることで、ただ頭の中でぐるぐると考え続けているだけでは気づかない心の奥底に眠っている願望に気づくことができたという声が多くあります。自分の本当にやりたいことは何なのか、どんな人生を送りたいのかを知ることで、それを叶えるためにやるべきことを明確化したり、達成に必要な情報に自然と敏感になることができ、目標達成がよりスムーズになるようです。自己理解を深め、自分の軸を見つけたいという方にとって、ジャーナリングは強い味方となるでしょう。

②自分の感情に振り回されず、コントロールしやすくなる
前述した通り、自分の感情を書き出して客観視し、その傾向に気づくことで前頭前野が鍛えられ、偏桃体を抑制し、感情をコントロールしやすくなるといわれています。自分がどんな時に落ち込みやすいのかやどんなときに不安を感じるのかに気づくことで、わけもなくモヤモヤとしたり、同じことをぐるぐると考え続けてしまうことが減り、よりスムーズな立ち直り方を見つけることができるそうです。

③感情を吐き出し、ストレスを発散できる
不安や恐怖、怒りといったネガティブな感情を吐き出すことで、感情の浄化(デトックス)が起こり、ストレスが軽減されるといわれています。ジャーナリングの内容は誰にも見せる必要がありません。思うがままに自由に書き連ねる自分だけの時間は、社会生活の様々なルールから解放され、ストレスとは無縁のひとときとなるでしょう。

④頭と心を整理することで、ポジティブになれる
感情を書き出すと気持ちが整理され、頭と心がスッキリと整うという方が大勢います。そして、心に余裕ができることで前向きな気持ちが生まれ、ポジティブに日々を過ごせるようになっていくのだそうです。書き出した感情がどんなにネガティブでも、それらを把握して受け止めることがポジティブな気持ちへの一歩になるといわれています。

ジャーナリングによる身体への影響

ジャーナリングは精神だけではなく、身体の健康にも良い影響を与えるということが実証されています。

テキサス大学オースティン校の社会心理学者、ジェームズ・ペネベーカー(James W. Pennebaker)博士は、1980年代、被験者の大学生を2つのグループに分け、4日間連続で1日15〜20分間、内容は誰にも見せないという前提で、紙に以下の内容を書いてもらうという実験を行ったそうです。

感情グループ:人生で経験した最も悲惨で辛い経験、または深い感情について
日常グループ:どうでもいい、当たり障りのない日常の出来事について

その結果、感情グループにのみ、ストレスの緩和やトラウマの消化によるメンタルの改善に加え、血圧が下がり免疫機能が強化されるという変化が見られたそうです。博士はこの感情グループの学生に行わせた手法をエクスプレッシブ・ライティングと題しており、これがやがてジャーナリングの基礎となったといわれています。

まとめ:ジャーナリングでウェルビーイングな人生を手に入れる

ジャーナリングは、紙とペンさえあれば誰もがいつでも始めることができます。毎日続ける必要はなく、書きたいときに書きたい分だけ書くやり方で構いません。

どの時間帯に書くとよいのかは人によって様々のようです。寝る前に書くと描いた内容を頭の中で反芻して眠れなくなってしまうので、朝に書くようにしたらすっきりとした気持ちで1日を過ごせるようになったという方もいれば、逆に寝る前に書くことでモヤモヤを吐き出せて翌朝を前向きな気持ちで迎えることができたという方もいるそうです。朝起きてすぐ、お風呂に入った後、寝る前など、自分に合った時間を見つけていくことが大切です。

モチベーションを上げてジャーナリングに臨みたいという方は、使用する文具にこだわってみることもおすすめです。お気に入りのノートや使いやすいペンを使えば、更に自分を労り、癒すことのできる憩いの時間になるのではないでしょうか。

自分の感情を見つめて心を整え、自分の軸を手に入れることは、ウェルビーイングな人生を手に入れるための大きな第一歩となるでしょう。

たった1行、1分からでも構いません。
今日からでもぜひペンを手に取り、ジャーナリングを始めてみませんか?

参考文献
・PRTIMES feppiness株式会社
【調査】75.8% ※1が実践済、デジタル疲れ時代に注目の新習慣「ジャーナリング」 (2025年3月25日 公表)
・アイセイ薬局
なぜ人は不安になるの?心をざわつかせる「感情」の正体 (2024年3月6日 公表)
ジャーナリングとは?書く瞑想の実践メソッド&体験談まとめ (2025年12月3日 公表)
・日本経済新聞
感情はどこから? 実は生存をかけて脳が下した判断 (2014年1月12日 公表)
・ResearchGate
Expressive Writing, Emotional Upheavals, and Health (2007年1月 公表)

※掲載されている内容に関する情報は、記事の掲載日現在の情報です。
その後、予告なしに変更となる場合がございます事をあらかじめご了承ください。